映画『バイオハザードII アポカリプス』に登場するネメシスを見て、「この怪物の正体は誰?」「前作のマットと関係があるの?」と気になった人は多いのではないでしょうか。結論からいうと、映画版ネメシスの正体は、第1作『バイオハザード』でアリスとともにハイブから脱出したマット・アディソンです。
ただし、マットがそのまま自然にネメシスへ変身したわけではありません。リッカーから受けた傷によって体が変異し始めたところをアンブレラ社に回収され、「ネメシス計画」の実験体として生物兵器へ改造されています。この記事では、マットがネメシスになった経緯、最後にアリスを助けた理由、ゲーム版ネメシスとの違いまで整理します。
バイオハザードII アポカリプスのネメシスの正体はマット・アディソン

『バイオハザードII アポカリプス』に登場する巨大な生物兵器ネメシスは、映画第1作に登場したマット・アディソンの変わり果てた姿です。外見だけではマットだったとはほとんど分かりませんが、物語終盤のアリスとの戦いによって正体が明らかになります。
マットは第1作でアリスと一緒に生き残った人物
マット・アディソンは、第1作『バイオハザード』でアリスたちとともに地下研究施設ハイブへ入った人物です。当初は警察官のように見えますが、実際には正式なラクーン市警の警察官ではなく、身分を偽って行動していました。
マットの目的はアンブレラ社の秘密を暴くことです。彼と姉妹のリサ・アディソンは、アンブレラ社が行っている危険な研究を外部へ告発しようとしていました。リサはハイブ内部に入り込んでおり、アリスとも接点を持っています。
つまりマットは、最初からアンブレラ社の実験に協力していた人物ではありません。むしろアンブレラ社を追及しようとしていた側の人間です。その人物が最終的に同社の生物兵器へ改造されてしまうところに、映画版ネメシスの悲劇があります。
アリスは戦っている途中でネメシスがマットだと気づく
『アポカリプス』終盤では、アンブレラ社のケイン少佐によってアリスとネメシスが直接戦わされます。アリスはネメシスを追い詰めますが、相手を見た瞬間に第1作の記憶がよみがえり、目の前にいる怪物がマットであることを理解します。
それまでネメシスは、アンブレラ社から与えられた命令を実行する生物兵器として描かれていました。しかしアリスが正体に気づいたことをきっかけに、ネメシス側にも人間だったころの記憶や感情が残っていることが示されます。
そのためアリスは、倒せる状態になったネメシスへとどめを刺しません。ここからネメシスの行動も変化し、単なる敵ではなく「マットだった存在」として物語に戻ってきます。
人間のマットとネメシスは別の俳優が演じている
正体が同一人物なのに外見や雰囲気が大きく異なるため、「本当にマットなのか」と疑問に感じる人もいるでしょう。人間だったマットを演じたのはエリック・メビウスですが、『アポカリプス』でネメシスを演じたのはマシュー・G・テイラーです。
『アポカリプス』でエリック・メビウスは、前作の映像を使用したマットの回想として登場します。ネメシスそのものは別の俳優が演じているため、顔や体格からマットだと見抜けないのは当然ともいえます。
キャスト上でもマットとネメシスは別々に表記されていますが、これは役者が異なるという意味であり、物語上の人物が別人という意味ではありません。
マットはなぜネメシスになった?第1作のラストからつながっている

マットがネメシスになった理由を理解するには、第1作『バイオハザード』の終盤を見る必要があります。実はネメシス誕生への伏線は『アポカリプス』で突然出てきたものではなく、前作のラストではっきり示されています。
リッカーに襲われて負傷したことが始まり
ハイブから脱出しようとするアリスたちは、列車内でリッカーの襲撃を受けます。その戦いの中でマットも負傷してしまいます。ハイブから地上へ戻ることには成功しますが、安心できる状態ではありませんでした。
地上に戻った直後、マットの傷には異常な変化が現れ始めます。腕の傷が通常では考えられない状態へ変異し、体内で何かが進行していることが分かります。
アリスは手元にある抗ウイルス剤を使おうとしますが、間に合いません。アンブレラ社の研究員たちが現れ、アリスとマットを拘束してしまうからです。
アンブレラ社がマットを「ネメシス計画」へ送った
第1作のラストでは、マットの異常な変異を確認したアンブレラ社側が彼を回収し、「ネメシス計画」の対象とすることを示す場面があります。この時点で、第2作に登場するネメシスへのつながりが作られています。
つまり、マットの体に起きた変異だけで映画第2作のネメシスが完成したわけではありません。アンブレラ社がマットの異常な状態を利用し、実験や処置を行った結果、生物兵器ネメシスとして運用されることになったと理解するのが自然です。
マットはアンブレラ社の秘密を暴こうとしていた人物でした。それにもかかわらず、最終的にはアンブレラ社の命令で人間を殺す兵器にされます。この皮肉な展開が、ゲーム版にはない映画版独自のドラマになっています。
アリスとマットは同じ事件から正反対の存在になった
興味深いのは、第1作の最後にアンブレラ社へ回収されたのがマットだけではないことです。アリスも同時に拘束され、その後の実験によって普通の人間を超えた身体能力を身につけます。
しかし、両者に現れた結果は大きく異なります。アリスは人間らしい外見や自我を保ったまま高い身体能力を獲得したのに対し、マットは巨大なネメシスへと変えられ、アンブレラ社に命令される兵器になりました。
| 人物 | アンブレラ社による実験後の状態 |
|---|---|
| アリス | 人間の姿と自我を保ちながら身体能力が大幅に強化される |
| マット | 肉体が大きく変異し、ネメシスとして兵器化・制御される |
終盤でアリスとネメシスを戦わせる場面は、単なる主人公と怪物の決戦としてだけでなく、同じハイブ事件から生まれた二つの実験結果をぶつける場面として見ることもできます。
映画版ネメシスは何者?S.T.A.R.S.を狙うアンブレラ社の生物兵器

ネメシスはマットの意識を完全に失ったゾンビというより、アンブレラ社によって戦闘用に作り変えられ、命令に従うよう制御された生物兵器として描かれています。通常のゾンビとは戦闘能力も判断能力も大きく異なります。
ガトリングガンやロケットランチャーを使いこなす
『アポカリプス』のネメシスは、巨大な体と圧倒的な腕力だけで戦う怪物ではありません。ガトリングガンやロケットランチャーといった大型火器を使用し、アンブレラ社から指定された標的を攻撃します。
通常のアンデッドは本能的に人間へ襲いかかりますが、ネメシスは相手を認識し、戦闘対象を判断できるほどの知能を持っています。そのため、映画の中ではS.T.A.R.S.の隊員たちを効率よく排除していきます。
この「S.T.A.R.S.を追跡して殺害する」という役割は、ゲーム版ネメシスを強く意識した部分です。外見だけでなく、標的を追跡するという基本的な役割も映画へ取り入れられています。
完全な機械ではなく、生体をベースにした存在
ネメシスの視点では機械的な表示が使われることがあり、武器も装備しているため、「ネメシスはロボットなのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし映画版ネメシスの核になっているのは、あくまでマットの変異した肉体です。完全なロボットが人工的に作られたのではなく、生きた人間をベースにアンブレラ社が生物兵器へ変えています。
命令されていたのに人間だったころの意識は残っていた
ネメシスは物語の大半でアンブレラ社の指示に従います。しかし、完全にマットという人格が消滅していたわけではありません。
アリスとの戦いを通じて過去の記憶がよみがえると、命令に逆らうようになります。ケイン少佐からアリスを殺すよう指示されても従わず、逆にアンブレラ社の兵士たちを攻撃します。
ネメシスが最後にアリスを助けたのは、マットとしての記憶と人間性が戻ったためと考えるのが最も自然です。怪物の姿になっても完全には失われていなかった人格が、最後の瞬間にアンブレラ社の支配を上回ったわけです。
映画版とゲーム版ネメシスの正体は違う

「ネメシスの正体はマット」と知ったときに注意したいのが、これは実写映画シリーズの設定だということです。ゲーム『バイオハザード3 LAST ESCAPE』やリメイク版『バイオハザード RE:3』のネメシスに、マット・アディソンという設定はありません。
| 比較項目 | 映画『バイオハザードII アポカリプス』 | ゲーム版 |
|---|---|---|
| ネメシスの正体 | マット・アディソンを改造した生物兵器 | アンブレラ社が開発したB.O.W.「ネメシス-T型」 |
| マットとの関係 | ネメシス本人 | 関係なし |
| 主な標的 | S.T.A.R.S.など | S.T.A.R.S.隊員 |
| ジルとの関係 | 標的の一人として遭遇する | ジルを執拗に追跡する主要な敵 |
| 人間だったころの記憶 | マットの記憶が残っている | マットのような人物の記憶を取り戻す設定ではない |
| アリスとの関係 | 第1作から続く因縁がある | ゲームにアリスは登場しない |
ゲームにはマット・アディソン自体が登場しない
そもそもマット・アディソンは実写映画シリーズのキャラクターです。アリスと同様、ゲーム版の物語に同じ人物が登場しているわけではありません。
そのため、「ゲームのネメシスも昔はマットという人間だった」と理解すると設定が混ざってしまいます。映画はゲームのキャラクターや舞台を取り入れながら、独自の人物やストーリーを組み合わせた作品です。
特に『アポカリプス』は、ジル・バレンタイン、カルロス・オリヴェイラ、ラクーンシティ、S.T.A.R.S.、ネメシスなどゲームでおなじみの要素が多数登場する一方、物語の中心には映画オリジナルキャラクターのアリスがいます。
映画はネメシスに「かつての仲間」という設定を加えた
ゲーム版でネメシスが怖い理由の一つは、ジルをどこまでも追い続ける正体不明の生物兵器としての圧力です。対して映画版では、その恐怖に「実は前作の仲間だった」という悲劇を追加しています。
マットをネメシスにすることで、第1作と第2作の物語が直接つながります。前作を見ていた観客にとっては、ただの巨大な怪物を倒すよりも、かつてアリスとともに生還した人物と戦わせるほうが感情的な意味を持ちます。
一方、原作ゲームの設定を基準に見ると、ネメシスとアリスが個人的な因縁を持つ展開は大きな変更点です。映画版ネメシスを理解するときは「原作の再現」と「映画独自の設定」を分けて考えると混乱しません。
共通しているのはS.T.A.R.S.を追跡する役割
正体は異なるものの、映画版とゲーム版には共通点もあります。代表的なのがS.T.A.R.S.を標的にすることです。
『アポカリプス』でもネメシスがS.T.A.R.S.隊員を襲撃する場面があり、原作ゲームの特徴が分かりやすく再現されています。巨大な体格、特徴的な顔、ロケットランチャーを使用する姿など、ビジュアル面にもゲームを連想させる要素があります。
つまり映画版ネメシスは、ゲーム版の見た目や役割を取り込みつつ、「正体はマット」という映画独自のバックストーリーを加えたキャラクターと考えると分かりやすいでしょう。
ネメシスはなぜ最後にアリスを助けたのか

『アポカリプス』を初めて見ると特に分かりにくいのが、ネメシスが終盤になって突然アンブレラ社へ反抗する場面です。しかし正体がマットだと分かれば、行動が変化した理由も見えてきます。
アリスとマットは第1作で一緒に死線をくぐり抜けている
アリスとマットは、第1作のハイブ事件で行動をともにしています。最初から親しい友人だったわけではありませんが、ゾンビやリッカーがいる地下施設から生還するために協力した関係です。
最終的にはアリスとマットがハイブから脱出するところまでたどり着きます。ところがその直後にアンブレラ社に拘束され、二人の運命は大きく変わりました。
そのため『アポカリプス』のアリスにとって、ネメシスは単なる敵ではありません。自分と同じようにアンブレラ社に実験された被害者であり、目の前にいるのはかつて一緒に生還したマットです。
アリスがとどめを刺さなかったことで関係が逆転する
アリスは戦闘でネメシスを追い詰めますが、マットだと気づいたあとには殺害を拒否します。ケイン少佐はアリスにとどめを刺させようとしますが、アリスは応じません。
その後、今度はネメシスにアリスを殺すよう命令が出されます。しかしネメシスも命令に逆らいます。ここでアンブレラ社に操られていた兵器としてのネメシスより、マット本人の意思が表面に出たと読み取れます。
そしてネメシスはアンブレラ社側を攻撃し、アリスたちの脱出を助けます。アリスがマットを殺さなかったことと、マットがアリスを殺さなかったことが対になっているため、この場面は二人の関係を締めくくる重要なシーンです。
ネメシスは「アリスが別の結果になっていた可能性」にも見える
映画版の設定を一歩踏み込んで考えると、ネメシスはアリスと対照的な存在でもあります。二人とも第1作の最後でアンブレラ社に捕らえられ、人体実験の対象にされました。
アリスは身体能力を強化されても自分の姿と意思を維持しました。一方、マットはネメシスへ変えられ、人間としての姿も自由も奪われています。
その意味ではネメシスは、アリス自身がアンブレラ社の実験によって別の方向へ変えられていた場合の姿を思わせる存在です。終盤の戦いは「人間対怪物」だけではなく、アンブレラ社が作り出した二人の被験者を戦わせているという残酷さもあります。
映画版ネメシスの重要なポイントは、怪物の中からマットの人間性が戻ってくることです。だからこそ、最後にアンブレラ社へ反抗する展開が成立します。
ネメシスとマットについてよくある疑問

ネメシスの正体を理解しても、「マットは死亡したのか」「その後また登場するのか」など疑問が残る部分があります。映画本編で確認できる内容を中心に整理します。
マットはネメシスになったあと死亡した?
ネメシスはアリスたちを助けてアンブレラ社側と戦ったあと、墜落したヘリコプターの残骸の下敷きになります。映画では、その後マットが人間の姿に戻ったり、生き延びて逃げ出したりする場面はありません。
しかもラクーンシティ自体が、その直後にアンブレラ社の作戦によって壊滅します。そのため、映画シリーズのストーリー上ではマット/ネメシスはここで死亡したと考えて問題ありません。
アリスとの再会によって一時的に人間性を取り戻したものの、そのまま生還することはできなかったという結末です。
ネメシスはマットに戻ることができた?
映画の中でネメシスの肉体が元のマットへ戻る描写はありません。取り戻したのは主に記憶や意思であり、外見はネメシスのままです。
したがって、「マットが完全復活した」というより、「ネメシスの肉体の中に残っていたマットの人格が再び表へ出た」と考えるほうが本編の描写に合っています。
ここを区別すると、最後の行動も理解しやすくなります。肉体はアンブレラ社によって作り変えられてしまいましたが、精神まで完全に支配されたわけではなかったということです。
ネメシスはアリスのことを覚えていた?
物語前半のネメシスはアリスとの過去を意識して行動しているようには見えず、アンブレラ社の生物兵器として命令を実行しています。
しかし終盤の戦いでは、アリスとの接触をきっかけにマットだったころの記憶が戻ったことを示す演出があります。そしてアリスを殺す命令を拒否しているため、少なくとも最後には彼女を仲間として認識できる程度の記憶や感情が戻ったと見ることができます。
ネメシスは第3作以降にも登場する?
マット本人がネメシスとして物語の中心に戻ってくることはありません。『アポカリプス』でアリスを助け、ヘリの残骸の下敷きになるところで、マットの物語は実質的に完結しています。
そのため映画シリーズを見る順番としては、第1作で「マットが負傷してネメシス計画へ送られる」ことを確認し、第2作で「ネメシスとして再登場し、最後に人間性を取り戻す」と理解すれば十分です。
バイオハザードII アポカリプスのネメシスの正体をまとめるとマット
『バイオハザードII アポカリプス』のネメシスの正体は、第1作でアリスとともにハイブから脱出したマット・アディソンです。マットはリッカーとの戦いで負傷し、体に異常な変異が起き始めたところをアンブレラ社に拘束され、ネメシス計画の実験体にされました。
その結果、巨大な生物兵器ネメシスとしてS.T.A.R.S.などを攻撃する存在になります。しかしマットの記憶や人格は完全には消えておらず、アリスとの戦いを通して人間性を取り戻します。最後にはアンブレラ社の命令に逆らい、アリスたちを守る側へ回りました。
「映画版ネメシス=マット」「ゲーム版ネメシス=マットではない」という2点を押さえておけば、設定を混同することはありません。映画版ではネメシスを前作の仲間だったマットにすることで、単なる強敵ではなく、アンブレラ社の人体実験によって人生を奪われた悲劇的なキャラクターとして描いています。


