『バイオハザードII アポカリプス』のラストでは、死んだと思われたアリスがアンブレラ社の研究施設で目を覚まし、最後にはアイザックス博士が「アリス計画」を始動させます。さらにアリスの目にはアンブレラ社のマークが浮かび、「洗脳された?」「助け出されたのに、なぜ博士は逃がした?」「あのアリスはクローン?」と疑問が残る終わり方です。
結論からいうと、ラストのアリスは本人であり、完全にアンブレラの操り人形になったわけでもありません。ただし、アンブレラはアリスを生物兵器として改造するとともに、追跡・制御できるようにしていました。続編『バイオハザードIII』まで見ると、意味深だったラストの仕掛けがかなり明確になります。
バイオハザードII アポカリプスのラストとアリス計画の意味

『バイオハザードII アポカリプス』のラストを理解するうえで最も重要なのは、アリスの脱出がアンブレラ社にとって完全な想定外ではなかったという点です。
カルロスたちはアリスを救出したつもりでしたが、アイザックス博士は検問所に対して彼らを通すよう指示しています。その直後にアリス計画の始動を告げ、アリスの目にアンブレラ社のマークが現れます。
アイザックス博士がアリスをわざと逃がした
アリスは研究施設から自力で脱出し、外でアンブレラ社の武装部隊に包囲されます。そこへアンブレラ社員を装ったカルロスやジルたちが現れ、アリスを車に乗せて施設から連れ出しました。
普通ならアンブレラ側は全力でアリスを取り戻すはずです。アリスはT-ウイルスと特殊な形で適合した非常に貴重な実験対象だからです。
ところが、検問所から確認を受けたアイザックス博士は彼らを止めません。ここがラスト最大のポイントです。つまり、少なくとも最終的な脱出については博士が承知したうえで許可しています。
カルロスたちは「アリスを奪還した」と考えていますが、実際にはアンブレラの監視下にあるアリスを外へ連れ出したにすぎなかった、という二重構造になっています。
「アリス計画を始動せよ」は何を意味している?
英語版のラストでは、アイザックス博士が「Program Alice activated」と発言します。日本語では「アリス計画」として受け取られることが多く、続編では「Project Alice」という呼称も使われます。
『II』だけでは計画の全容をあえて説明していません。そのため、「アリスがアンブレラのスパイになった」「人格を完全に乗っ取られた」と解釈してしまうこともあります。
しかし続編まで含めて考えると、より正確なのは、アリスの身体に施した処置を利用してアンブレラ側が監視や制御を行い、彼女の能力そのものを研究・利用しようとしていたという意味です。
ラストに映る人工衛星も重要な伏線
映画の最後ではカメラがアリスたちの車からどんどん遠ざかり、地球規模の映像へ移ったあと、アンブレラ社の人工衛星を思わせる描写が入ります。
これは単に「アンブレラは世界規模の巨大企業です」と示しているだけではありません。アリス計画という言葉、アリスの目に現れたマーク、人工衛星という3つの演出を続けることで、逃げたアリスが依然としてアンブレラの管理対象にあることを示しています。
『II』公開時点では具体的な仕組みをぼかした伏線ですが、『III』では人工衛星を利用してアリスを発見し、彼女に施された「conditioning(条件付け)」を使って行動を停止させようとする場面が登場します。
ラストのアリスは死んだのか?クローンではなく本人

もう一つ混乱しやすいのが、「ヘリコプター墜落でアリスは死んだはずなのに、研究施設で目覚めた女性は誰なのか」という点です。
特に『バイオハザードIII』には大量のアリスのクローンが登場するため、シリーズをまとめて見た場合、「『II』のラストですでにクローンへ入れ替わったのでは?」という疑問が生まれやすくなっています。
ヘリ墜落後のアリスはアンブレラに回収された
ラクーンシティから脱出したアリスたちは、アンブレラ社が街を消滅させるために使用した核爆発の衝撃に巻き込まれます。ヘリコプターは墜落し、アリスはアンジェラを守ろうとして重傷を負いました。
その後、アリスの身体はアンブレラによって回収され、アイザックス博士たちの研究施設へ運ばれます。研究施設で目覚めたアリスの身体が回復しているのは、アンブレラによる処置と、アリス自身が持つT-ウイルスへの特殊な適応能力が関係しています。
研究員も彼女について、身体能力だけでなく精神的な能力まで急速に発達していることを確認しています。つまりアンブレラにとっては、死にかけた人間を単に治療したのではなく、極めて価値の高い実験体をさらに進化させる機会だったわけです。
目覚めたアリスは記憶も取り戻している
目覚めた直後のアリスは、ペンの名前さえ思い出せないような状態です。ところが徐々に記憶が戻り、最終的には自分がアリスであることだけでなく、これまでに起きたことも思い出します。
この場面には、前作冒頭で記憶を失っていたアリスとの対比もあります。第1作では「自分が誰なのかわからない」状態から物語が始まりましたが、『II』のラストでは自分の名前と過去を自ら取り戻します。
そのため、「アンブレラによって以前のアリスが消され、別人格になった」と考える必要はありません。むしろ人格と記憶を保ったまま、肉体と能力だけがさらに改造されたことが重要です。
『II』のラストにいるのはオリジナルのアリス
『バイオハザードII アポカリプス』の最後に研究施設から出てくるアリスは、クローンではなく、それまで物語を戦ってきた本人です。
『III』では確かにアリスのクローンが大量に作られています。しかし同作では、クローンとは別に「オリジナルのアリス」が存在していることが物語上はっきり区別されています。
公式のシリーズ紹介でも、『III』ではアンブレラ社によるアリス計画が進行し、アリスのクローンを使った実験が繰り返される設定になっています。つまり、『II』のラストでいつの間にかクローンと交換されたという意味ではありません。
アリスの目にアンブレラ社のマークが出た意味

ラストで特に不気味なのが、車に乗ったアリスの目に一瞬だけアンブレラ社のマークが現れる場面です。この演出は「アリスの中にアンブレラの何かが組み込まれた」ことを示しています。
ただし、このマークだけを見て「アリスが完全に洗脳されて敵になった」と考えると、その後の展開とは一致しません。
完全な洗脳を示しているわけではない
アンジェラやジルが声をかけても、アリスはどこか無表情です。その直後に目のマークが映るため、初見では「アンブレラに人格を乗っ取られた」と感じるよう意図された演出でしょう。
しかし『III』のアリスはアンブレラの命令に従って仲間を襲うような存在にはなっていません。むしろアンブレラから逃げ続け、人工衛星による監視を避けながら一人で行動しています。
したがって、目のマークは人格そのものの消滅ではなく、アンブレラがアリスに何らかの制御手段を組み込んだことを象徴するものと見るのが妥当です。
『III』ではアンブレラが遠隔操作を試みる
『III』では、アンブレラが人工衛星を通じてアリスを発見し、彼女の動きを強制的に停止させようとします。その際、アンブレラ側はアリスに施した条件付けを利用しています。
この場面によって、『II』ラストの意味がかなり具体化します。アイザックス博士がアリスを逃がした時点で、アリスにはアンブレラ側から干渉できる仕組みが残されていたということです。
ところがアリスは制御信号に抵抗します。さらに強大になった能力によってアンブレラ側のシステムにも対抗するため、「計画によって操られる生物兵器」というアンブレラの思惑から外れていきます。
アリスはアンブレラの商品になったという皮肉
『II』のエンディングでは、アンブレラ社の企業理念を思わせる映像・音声も重ねられます。ここにはアリスを一人の人間ではなく、自社が作り出した「製品」として扱うアンブレラの思想が表れています。
アリス自身は自由になったと思っていても、アンブレラ側から見れば研究成果の一つです。人間の生命を扱う企業が、人間そのものを兵器や実験材料として扱っているというシリーズらしい皮肉が込められています。
なぜアンブレラはアリスを改造したのか?ネメシスとの関係

アリス計画の意味を理解するには、アリスだけを見るのではなくネメシスとの関係も重要です。『II』ではアリスとネメシスが、アンブレラによって進められた2つの実験の成果として対比されています。
ネメシスの正体は前作のマット
ネメシスの正体は、第1作『バイオハザード』でアリスとともにハイブから脱出したマットです。前作ラストではアリスとマットがアンブレラに捕らえられ、別々の研究対象にされました。
マットは感染とアンブレラの実験によって巨大な生物兵器ネメシスへと変貌します。一方のアリスもT-ウイルスを体内に取り込んでいますが、怪物になるどころか、外見を人間のまま保ちながら身体能力を大幅に向上させました。
同じ出来事から出発した2人が、一方は怪物となり、もう一方は人間の姿を維持した超人になる構成です。
アリスとネメシスは並行して進められた研究
終盤でアンブレラ側は、アリスとネメシスを戦わせます。これは単なる処刑や見世物ではなく、どちらの研究成果が優れているかを実戦で比較するテストでもあります。
ネメシスは圧倒的な火力と耐久力を持っていますが、アリスはスピードや判断力を維持しています。さらに決定的なのは、人間としての自我が残っていることです。
アリスはネメシスを倒せる状況になっても、相手がマットだと知って戦いをやめます。逆にネメシスも最後にはアンブレラに反抗します。アンブレラが人間を完全に「所有物」として扱おうとしても、人間としての意識までは思い通りにならないという共通点があります。
アンブレラにとってアリスのほうが価値の高い成功例になった
アリスはT-ウイルスと極めて良好に適合し、高い身体能力を獲得しながら知性や外見を失っていません。研究対象として考えれば、巨大化・変異したネメシスよりも応用範囲の広い存在です。
しかも『II』の終盤になると、肉体的な強さだけではなく精神的な能力まで現れ始めます。研究施設から脱出する際には、直接触れずに警備員へ致命的な影響を与えるような描写もあります。
ネメシス計画が「怪物として強力な兵器を作る実験」だったのに対し、アリスは「人間の姿と知性を保ったままT-ウイルスの能力を引き出せる存在」になりました。この違いが、後のアリス計画につながったと考えられます。
『バイオハザードIII』を見るとアリス計画の正体がさらにわかる

『II』はアリス計画の全容を明かさないまま終わるため、単体で見ると意図的に謎が残ります。一方、『バイオハザードIII』ではアンブレラがアリスをどのように利用しようとしていたのかが具体的に描かれます。
アリスは仲間を守るために姿を消していた
『III』では『II』から時間が経過し、アリスはカルロスたちと別れて単独で行動しています。しかしこれは、アリスが突然仲間を嫌いになったからではありません。
アリス自身が、アンブレラによって自分が利用され、追跡されていたことを説明しています。仲間と一緒にいれば、アンブレラの追跡によって彼らまで危険にさらしてしまいます。そのため人工衛星の動きを把握し、監視網を避けながら行動していました。
この事実を踏まえると、『II』ラストの人工衛星は非常にわかりやすい伏線だったことになります。
アリス計画ではクローン実験も行われる
『III』になると、アイザックス博士はアリスと同じ遺伝情報を持つクローンを大量に作り、実験を繰り返しています。公式のシリーズ紹介でも、アンブレラ社でアリス計画が始動し、クローン実験が行われていることが説明されています。
ただし、クローンを大量生産すればオリジナルとまったく同じ存在を簡単に作れるわけではありません。アイザックス博士自身、オリジナルのアリスがいないことで研究が難航しています。
特に重要なのが、アリスの血液や遺伝的な特性です。アンブレラは彼女のT-ウイルスへの適応性を利用し、感染者を制御する研究などに応用しようとします。
| 項目 | 『II』ラストで示されること | 『III』で明らかになること |
|---|---|---|
| アリス本人 | アンブレラによって回収・処置される | オリジナルとして生存している |
| アリス計画 | アイザックス博士が始動を宣言 | 研究・追跡・制御やクローン実験へ発展 |
| 目のマーク | アンブレラの干渉を示唆 | 条件付けを利用した遠隔制御が描かれる |
| 人工衛星 | 意味深にラストへ登場 | アンブレラがアリスの追跡に利用 |
| クローン | まだラストのアリス自身ではない | アリス計画の実験体として大量に登場 |
オリジナルが必要だったことがアリスの特殊性を示している
クローンを作れるなら、逃亡中のアリスを放っておけばよさそうにも思えます。しかしアンブレラはオリジナルのアリスを探し続けます。
その理由は、単純に同じDNAを複製するだけでは、オリジナルが獲得した特殊な能力やT-ウイルスとの適合状態を完全には再現できなかったためです。
ここから考えると、アリス計画の本当の価値は「アリスという人間のコピーをたくさん作ること」だけではありません。アンブレラが欲しかったのは、アリスに起きた奇跡的ともいえるT-ウイルスとの適応を再現し、自由に利用できる技術に変えることだったと考えられます。
ラストでよくある疑問を整理するとどうなる?

『バイオハザードII アポカリプス』の最後は続編への伏線を一度に提示しているため、初見では複数の謎が重なって見えます。重要なポイントを分けて考えると理解しやすくなります。
アリスはアンブレラの敵になったの?味方になったの?
アリス自身の意思はアンブレラの味方になっていません。記憶も人格も残っており、その後もアンブレラと敵対します。
ただし身体にはアンブレラの実験による影響が残っており、遠隔から行動を停止させられるなど、一定の制御を受ける可能性があります。
つまり「心まで洗脳されてアンブレラ社員になった」のではなく、本人の意思とは無関係に、アンブレラが利用できる仕組みを身体へ施されたと考えるのが適切です。
カルロスたちの救出は全部アンブレラが仕組んだの?
カルロス、ジル、L.J.たちがアリスを助けようとした意思までアンブレラが作ったわけではありません。彼ら自身は本当にアリスを救出しようとしています。
重要なのは、救出が進んだ最後の段階でアイザックス博士が彼らをあえて止めなかったことです。カルロスたちから見れば救出成功ですが、博士から見れば監視・制御可能なアリスを外へ出すことを許可した形になります。
「脱出劇そのものが最初から最後まで演技だった」と断定するより、本物の救出作戦をアンブレラ側が途中から利用したと捉えたほうが劇中描写に合います。
なぜ研究施設に閉じ込めず、わざわざ外へ出したの?
『II』だけではアイザックス博士の具体的な研究計画まで説明されないため、ここは断定できない部分があります。ただし、アリスが研究施設内ですでに驚異的な能力を示したこと、博士が意図的に通行を許可したこと、直後に人工衛星が映されることから、外に出した状態でも監視・制御できると考えていた可能性が高いでしょう。
研究室の検査だけでは、超人的な能力を持つアリスが実際の環境でどのように行動するかまではわかりません。アンブレラにとって彼女が「兵器」であるなら、実地で観察する意味もあります。
ところが結果としてアリスはアンブレラの予想以上に強くなり、後には制御そのものを破ってしまいます。ここでも、生命を完全に管理できると考えるアンブレラの傲慢さが裏目に出ています。
『III』冒頭のアリスは何者?
『III』の冒頭を見ると、第1作を思わせる場所でアリスが目覚めるため、「時間が戻った?」「『II』までの話は偽物だった?」と戸惑うかもしれません。
しかし、ここに登場するのはアリス計画によって作られたクローンの一体です。実験に失敗した個体は処分されており、アンブレラが何度も同じ実験を繰り返していることが明らかになります。
その後に登場する荒野を旅しているアリスが、『I』『II』から続くオリジナルです。この構成自体が、「コピーは作れてもオリジナルを再現できない」というアリス計画の問題を示しています。
バイオハザードII アポカリプスのラストは「脱出成功」に見せた逆転エンド
『バイオハザードII アポカリプス』のラストは、一見するとアリスが仲間に救出されるハッピーエンドです。しかし実際には、アンブレラの支配から完全には逃れられていないことを最後の数分で示す構成になっています。
アイザックス博士がアリスたちをあえて通過させ、「アリス計画」を始動させること、アリスの目にアンブレラ社のマークが現れること、そして最後に人工衛星が映ることはすべてつながっています。
つまりアリスは研究施設から脱出できても、アンブレラの「実験体」という立場からはまだ脱出できていなかったのです。
ただし、アリスの人格まで奪われたわけではありません。『III』ではアンブレラの監視を避け、遠隔制御にも抵抗し、最終的にはアリス計画そのものを逆手に取ってアンブレラへ反撃していきます。
また、『II』のラストに登場するアリスはクローンではなく本人です。クローン実験が本格的に描かれるのは『III』であり、そこではオリジナルのアリスと明確に区別されています。
ネメシスとアリスが並行して作られた研究対象だったことまで踏まえると、アリス計画とは単なる「洗脳計画」ではありません。T-ウイルスと完全に近い形で適合したアリスの能力を研究し、再現し、アンブレラの管理下に置こうとする計画だったと理解できます。
『II』の結末は「アリスは助かったのか」という疑問を残すだけでなく、「自由になったと思ったアリスが実はまだアンブレラの掌の上にいる」という逆転を描いたものです。そして、その支配からアリス自身が抜け出していくことが『バイオハザードIII』の物語へつながっています。


