『ロンドンゾンビ紀行』について調べていると、「おじいちゃんが歩行器でゾンビから逃げる追いかけっこ」を思い出す人も多いのではないでしょうか。全力で逃げているはずなのに人間もゾンビも驚くほど遅く、緊迫した演出とのギャップで笑わせる本作屈指の名場面です。
あのおじいちゃんは誰なのか、どのような場面なのか、本編も同じような雰囲気なのかが気になる人向けに、追いかけっこの内容から俳優、作品全体の見どころまで紹介します。結論からいうと、歩行器でゾンビに追われている老人は「ハミッシュ」で、演じているのは英国俳優リチャード・ブライアーズです。
ロンドンゾンビ紀行のおじいちゃんとゾンビの追いかけっこはハミッシュの場面

『ロンドンゾンビ紀行』で特に印象に残りやすいのが、老人ホームの入居者ハミッシュとゾンビによる超低速の追いかけっこです。短いギャグでありながら、本作がどのようなゾンビ映画なのかを一場面で表しているといってもよいでしょう。
歩行器で逃げているおじいちゃんの名前はハミッシュ
ゾンビに追われながら歩行器を使って逃げるおじいちゃんは、老人ホーム「ボウ・ベル」の入居者であるハミッシュです。演じているのはリチャード・ブライアーズ。祖父レイを演じるアラン・フォードとは別の人物なので、人物名を調べている場合は混同しないよう注意してください。
本作ではテリーとアンディの祖父であるレイが老人ホーム側の中心人物として描かれます。そのため、印象的な歩行器のシーンを見て「あれが主人公のおじいちゃん?」と思うかもしれませんが、追いかけっこをする人物はレイではなくハミッシュです。
外で眠っていたところから追いかけっこが始まる
この場面では、老人ホームの仲間たちが建物内に避難している一方、ハミッシュだけが外で眠っています。周囲にはすでにゾンビがいるものの、本人は状況に気づいていません。仲間たちは窓越しに声をかけて危険を知らせようとします。
ようやく起きたハミッシュですが、耳が遠いため切迫した警告がなかなか伝わりません。しかも、仲間が大声で呼びかけたことで周囲のゾンビもハミッシュの存在に気づきます。状況だけを考えれば絶体絶命なのに、ここから本作ならではの笑いが始まります。
全力で逃げても歩行器なのでまったく速くならない
ゾンビに気づいたハミッシュは当然逃げようとします。しかし歩行器を使っているため、本人がどれだけ急いでも移動速度はほとんど上がりません。ところが、この映画に登場するゾンビも昔ながらのゆっくり歩くタイプです。
その結果、歩行器のおじいちゃんとゾンビが、どちらも信じられないほど遅い速度で必死に追いかけっこをすることになります。カメラや音楽はアクション映画の追跡場面のように緊迫感を高めているのに、引いた画面で見るとほとんど距離が変わっていない。この落差が笑いの中心です。
おじいちゃんとゾンビの追いかけっこが面白い理由

このシーンは単に「高齢者だから動きが遅い」という一発ネタだけで作られているわけではありません。本作そのものが「遅いゾンビと、さらに速く動けない老人たちを組み合わせたらどうなるか」という発想を重要な個性にしています。
ゾンビ映画の定番である追跡シーンを逆転させている
一般的なホラー映画の追跡シーンでは、追う側と逃げる側が猛スピードで移動するほど緊迫感が高まります。特に2000年代以降のゾンビ作品では、走る感染者や俊敏なゾンビが登場する作品も珍しくありません。
『ロンドンゾンビ紀行』はその方向へ進まず、あえて昔ながらのゆっくり動くゾンビを採用しました。ところが対戦相手が老人ホームの入居者なので、普通なら十分逃げられそうなゾンビでも恐ろしい相手になります。「ゾンビが遅くても、逃げる側がもっと遅かったら危険」という単純ながら見落としやすい発想です。
音楽と映像だけは本気のアクションになっている
追いかけっこの笑いを強くしているのが演出です。ハミッシュは真剣に逃げ、ゾンビも真剣に追っています。登場人物にとっては命がかかった状況なので、誰もふざけているわけではありません。
さらに勢いのある音楽や切り返しによって、映像上は激しいチェイスシーンとして処理されます。それなのに全景が映ると、歩行器のハミッシュもゾンビもゆっくり前進しているだけです。登場人物は真剣なのに、観客から見ると異常にのんびりしているという構造が、このギャグを強くしています。
監督自身が「遅いゾンビとさらに遅い老人」を重要な発想としていた
監督のマティアス・ハーネーは公開当時のインタビューで、企画を考えていた時期には速く動くゾンビが多かったものの、自分は遅いゾンビを使いたかったという趣旨を語っています。そして本作では、車椅子や歩行器を使う老人たちなら、その遅いゾンビよりさらに移動が大変になることに面白さを見いだしていました。
つまりハミッシュの追いかけっこは、偶然生まれた小ネタではありません。「ゾンビは遅い。しかし老人たちはもっと遅い」という映画全体のアイデアを最もわかりやすく映像化した場面と考えると、本作の魅力が理解しやすくなります。
ハミッシュ役リチャード・ブライアーズはどんな俳優?

歩行器で逃げるハミッシュを演じたリチャード・ブライアーズは、長年イギリスのテレビや舞台などで活躍した俳優です。若手俳優が老人に扮して演じているのではなく、当時すでに長いキャリアを持っていたベテランが本人の年齢を生かして演じています。
リチャード・ブライアーズがハミッシュを演じている
『ロンドンゾンビ紀行』のキャスト情報では、ハミッシュ役としてRichard Briers(リチャード・ブライアーズ)がクレジットされています。公開当時のインタビューでは、自身の年齢に触れながら、ゾンビが非常に遅いので自分にはぴったりだと冗談交じりに話していました。
ハミッシュの追いかけっこがおかしいのは、演技で必要以上に大げさな老人を作っているからではありません。歩行器を使って必死に移動する人物を本格的なアクションヒーローのように撮ることで、本人の落ち着いた存在感と映画の過剰な演出がぶつかっています。
主人公のおじいちゃんレイ役はアラン・フォード
『ロンドンゾンビ紀行』には高齢の主要人物が多いため、誰が誰なのかわかりにくくなることがあります。物語の中心となる祖父レイ・マグワイアを演じているのはアラン・フォードです。テリーとアンディが銀行強盗まで計画する理由も、レイが暮らしている老人ホームを救いたいからです。
レイは歩行器で逃げ回るハミッシュとはかなり性格が違い、ゾンビを前にしても強気な態度を崩さない人物として描かれます。若者たちに救出されるだけのおじいちゃんではなく、老人ホーム側の戦力をまとめる存在でもあります。
ペギー役には『007/ゴールドフィンガー』のオナー・ブラックマン
老人ホーム側には、ペギーを演じるオナー・ブラックマンも登場します。ブラックマンは『007/ゴールドフィンガー』などで知られる英国のベテラン俳優です。本作では高齢者だからと守られているだけではなく、ほかの入居者とともにゾンビへ立ち向かいます。
若者だけでなくベテラン俳優たちにも派手な見せ場を用意していることは、『ロンドンゾンビ紀行』の大きな特徴です。そのためハミッシュの追いかけっこだけを目当てに見始めても、老人ホーム組の活躍そのものが見どころになっていきます。
| 人物 | 俳優 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハミッシュ | リチャード・ブライアーズ | 歩行器でゾンビと超低速の追いかけっこをする老人 |
| レイ・マグワイア | アラン・フォード | テリーとアンディの祖父で老人ホーム側の中心人物 |
| ペギー | オナー・ブラックマン | ゾンビ相手にもたくましく戦う入居者 |
| テリー | ラスムス・ハーディカー | レイを救おうとする兄弟の一人 |
| アンディ | ハリー・トレッダウェイ | テリーとともに銀行強盗を計画する兄弟 |
ロンドンゾンビ紀行はどんな映画?おじいちゃんたちが主役級に戦うゾンビコメディ

追いかけっこの動画や切り抜きだけを見た場合、「ずっと老人とゾンビが追いかけっこする映画なのか」と思うかもしれません。実際には若者側と老人ホーム側という2つのグループを軸に進む、アクション色の強いゾンビコメディです。
老人ホームを救うため銀行強盗を計画するところから始まる
物語の中心となるテリーとアンディは、祖父レイが暮らしているボウ・ベル老人ホームが閉鎖されると知ります。祖父たちの居場所を守るため、兄弟が考えた解決策はなんと銀行強盗でした。
ところが強盗を実行している間にロンドンではゾンビが大量発生します。街を脱出するだけでも大変な状況ですが、兄弟にとって最も気になるのは老人ホームに残された祖父たちです。若者側が老人たちを救出しようと動く一方、老人ホームでは入居者自身もゾンビと戦い始めます。
作品情報は2012年製作・88分のイギリス映画
『ロンドンゾンビ紀行』の原題は『Cockneys vs Zombies』。2012年製作のイギリス映画で、日本では2013年1月12日に劇場公開されました。上映時間は88分で、日本公開時の区分はR15+です。監督はマティアス・ハーネー、脚本にはジェームズ・モランとルーカス・ローチが名を連ねています。
88分という比較的コンパクトな作品なので、世界観を長時間説明するタイプではありません。銀行強盗、ゾンビ発生、老人ホームでの籠城、若者と高齢者の合流といった出来事をテンポよく進めていくエンターテインメント作品です。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』とは別作品
イギリスを舞台にしたゾンビコメディということで、『ショーン・オブ・ザ・デッド』を連想する人も多いでしょう。日本でも『ロンドンゾンビ紀行』は同作へのオマージュやリスペクトが感じられる作品として紹介されています。
ただし、続編やスピンオフではありません。登場人物やストーリーにつながりはなく、単独で鑑賞できます。『ショーン・オブ・ザ・デッド』が日常生活とゾンビ騒動を組み合わせたコメディなら、『ロンドンゾンビ紀行』はロンドンの下町、銀行強盗、老人ホーム、ゾンビアクションを組み合わせた作品と捉えると違いがわかりやすいでしょう。
追いかけっこだけではないロンドンゾンビ紀行の見どころ

歩行器のおじいちゃんは強烈な印象を残しますが、本作の面白さは一場面だけではありません。特に「普通ならゾンビ映画で弱者として扱われそうな高齢者を、きちんと戦う登場人物として描く」という方向性が作品全体を支えています。
老人たちを単なる救助対象として描いていない
物語上、若者たちは老人ホームへ祖父たちを助けに向かいます。しかし老人ホーム側が何もできずに救助を待っているわけではありません。レイやペギーたちは状況を理解すると、自分たちなりの方法でゾンビへ対抗します。
歩行器や車椅子といった身体的な制約も隠されません。それどころか、その制約自体をアクションや笑いへ変えていきます。高齢だから危険が大きくなるという事実と、高齢でも戦えるという爽快感を同時に使っている点が、本作のゾンビコメディとしての個性です。
「遅さ」を弱点ではなく映画独自の武器に変えている
普通のアクション映画なら、登場人物が素早く走れないことは演出上の弱点になりかねません。しかし本作は、それを逆に利用しています。ゾンビも老人も遅いからこそ、ほかのゾンビ映画では成立しない状況が次々に生まれます。
その象徴がハミッシュの追いかけっこです。高速で逃げられる若者なら数秒で終わってしまう状況なのに、歩行器だから追跡劇として成立します。登場人物のできないことを隠すのではなく、それ自体を映画のアイデアへ変えているところに工夫があります。
老人ホームにはロンドンの下町文化という意味もある
本作の舞台となるイースト・ロンドンと老人ホームは、単に「高齢者対ゾンビ」というギャグを作るためだけに選ばれたわけではありません。監督はインタビューで、老人ホームには古いコックニー文化や地域社会が都市の変化によって押し出されていくイメージも重ねていたことを語っています。
老人ホームの閉鎖を止めようとする若者と、そこに暮らす昔ながらの住民がゾンビに立ち向かう構造には、「自分たちの居場所を守る」という共通点があります。深刻な社会派映画ではありませんが、単なるゾンビ退治だけではない背景があることで、老人たちの活躍にも意味が生まれています。
おじいちゃんとゾンビの追いかけっこは単独のギャグとして面白いだけでなく、「遅いゾンビ対さらに遅い老人」という本作の発想や、老人を主役級に扱う姿勢を象徴する場面です。
ロンドンゾンビ紀行を見る前に知っておきたい怖さ・グロさ・配信情報

コミカルな追いかけっこをきっかけに興味を持った場合、気になるのが「ホラーが苦手でも見られるのか」という点でしょう。コメディ色はかなり強い一方、ゾンビ映画らしい流血や人体損壊まで控えめというわけではありません。
怖さより笑いが中心だがグロテスクな場面はある
作品全体の雰囲気としては、じわじわ怖がらせるホラーよりもアクションとブラックコメディが中心です。ゾンビが突然現れて延々と恐怖をあおる作品とは方向性が異なり、登場人物が比較的早い段階からゾンビだと理解して戦い始めます。
ただし、日本ではR15+で公開された作品です。ゾンビへの銃撃や流血、身体が損傷する描写などがあり、見た目のグロテスクさはあります。「歩行器のおじいちゃんが面白そうだから家族向けコメディだろう」と考えて見ると想像より過激に感じる可能性があります。
追いかけっこの続きにも老人たちの活躍がある
ハミッシュの超低速チェイスは、それだけで完結する小ネタではありません。仲間たちは彼を助けようと行動し、その救出方法まで本作らしいドタバタしたアクションにつながります。さらに後半になると、歩行器や車椅子を使う人物を含めて老人ホームの住人たちが戦力として参加します。
そのためネット上の短い映像だけで笑えた人には、本編との相性も比較的判断しやすいでしょう。「弱そうな人が意外な方法でゾンビと戦う」「危険な状況なのに妙なところで笑える」といった展開が好きなら、追いかけっこ以外にも見どころがあります。
現在も動画配信サービスで作品ページを確認できる
配信作品は契約や時期によって変わりますが、2026年8月時点のU-NEXT公式作品ページでは『ロンドンゾンビ紀行』の作品情報と配信ページが確認できます。Apple TVなどにも国内向け作品ページがあります。
一方で、見放題・レンタル・購入といった条件は変更される可能性があります。過去の記事に書かれた配信先だけで判断せず、視聴する直前に利用中のサービスで「ロンドンゾンビ紀行」または原題「Cockneys vs Zombies」を検索するのが確実です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 邦題 | ロンドンゾンビ紀行 |
| 原題 | Cockneys vs Zombies |
| 製作年 | 2012年 |
| 日本公開 | 2013年1月12日 |
| 上映時間 | 88分 |
| ジャンル | ゾンビ・ホラー・コメディ・アクション |
| 監督 | マティアス・ハーネー |
| 追いかけっこの老人 | ハミッシュ/リチャード・ブライアーズ |
ロンドンゾンビ紀行のおじいちゃんとゾンビの追いかけっこを振り返る
『ロンドンゾンビ紀行』で歩行器を使いながらゾンビから逃げるおじいちゃんは、リチャード・ブライアーズ演じるハミッシュです。外で眠っていてゾンビ騒動に気づかず、ようやく危険を理解して逃げ始めるものの、歩行器なのでほとんど速度が上がりません。
ところが追跡するゾンビも昔ながらのゆっくり歩くタイプ。そのため、本人たちは必死なのに一向に速くならない異例の追いかけっこが成立します。この場面は単なる一発ギャグではなく、「遅いゾンビと、さらに移動が難しい老人たちを戦わせる」という映画全体の発想を象徴しています。
主人公兄弟の祖父はハミッシュではなく、アラン・フォード演じるレイです。老人ホームにはペギーをはじめ個性的な高齢者がそろい、後半では「助けられるだけの老人」という予想を裏切る活躍を見せます。歩行器のおじいちゃんとゾンビの追いかけっこで笑えたなら、本編も老人たちの強さとブラックユーモアを楽しめるゾンビコメディとして見る価値があります。



